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【第2部】 第26話 通じた想い②

last update 최신 업데이트: 2025-10-02 19:00:20

 夕日が辺りを優しく染めている。

 風が吹くたび、ほんのり赤く色づいた木々たちが、さわさわと静かな音を立てた。

 柔らかな光に目を細めながら、私は縁側に腰を下ろす。

 すぐ隣に、龍の気配がする。

 彼は私から少しだけ距離を空け、そっと腰を下ろした。

「……」  

「……」

 しばらく、ふたりとも黙り込んでしまう。

 静かな時間が流れ、家の前を通るバイクの音が、妙に大きく耳に届いた。

「……夕日が、綺麗ですね」

 やっと絞り出された龍の第一声が、それだった。

 龍は気まずそうに下を向く。

 絶対、私がまだ怒っていると思ってる……。

「ねえ、龍」

「は、はい!」

 私が呼ぶと、龍はびくりと肩を揺らし慌ててこちらを見る。

 視線がぶつかると、その瞳がゆらゆらと揺れ、不安と緊張が伝わってきた。

 そんな彼の気持ちに寄り添うように、ほんのり微笑む。

「私、怒ってないよ」

「……え?」

 龍は目を瞬かせ、ぽかんとした顔をする。

 ほらね、やっぱり怒ってるって思ってた。

「だって、私のせいだもん。

 私の態度が、龍を不安にさせたんだよ。だから……あんなふうに」

 その瞬間、あの日のことが蘇り、顔が熱くなる。

「な、何をおっしゃるんですか! 悪いのは、私です!」

 龍が勢いよく首を振り、顔を真っ赤にして叫んだ。

「本当に申し訳ありませんでした……お嬢に、あんなこと……!」

 そのまま、またうつむいてしまう龍。

 ……気まずい。

 また沈黙だ。

 私は、ふうっと小さく息を吐き、口を開いた。

「あのさ、私、別に嫌じゃなかったよ」

「えっ!!?」

 龍がぎょっとした顔で私を見る。

 目を剥いて、焦って。顔がみるみる赤くなっていく。

「そ、それは……どういう、意味でしょうか?」

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